基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
量子力学の奥深くに隠されているもの | ショーン・キャロル | January 17, 2021 | ⭐️⭐️⭐️⭐️ | Science |
読書メモ
量子力学の観測事実は、あらゆる物質は波動として存在し、観測することで粒子としての性質が現れることを示す。これを”波動関数の収束”で説明したのが伝統的なコペンハーゲン解釈。これに対し筆者は、毎秒環境と量子もつれが発生し、世界が分裂するという多世界解釈(エヴェレット解釈)を唱える。(宇宙のシュレディンガー方程式があって、異なる世界に時間的発展をする。我々が計測するシュレディンガー方程式は局地的なものに過ぎない)。対してはオッカムのカミソリやポパーの反証可能性の視点からの反論が考えられるが、筆者は仮想的な対話の形を借りて、そうした反論に再反論していく。多世界の仮説と同じくらい、観測による波動関数の収束の仮定は”不必要な仮定”であり、反証できないではないか、と。
量子力学は極めて実用的な理論となっているが、その裏にはある意味棚上げされた解釈問題が横たわっている。多世界解釈は一見奇想天外に見えるが、突き詰めれば、多世界解釈が一番”自然な”解釈だという主張も可能だということが何よりも面白い。
一言コメント
全くの門外漢ではありますが、量子力学の奥深さには惹かれます。世界が無数に分岐する理論がSFの世界ではなくなる日も近いかもしれません。
2022/3/5