基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
ニクソンとキッシンジャー | 大嶽秀夫 | 2021年1月23日 | ⭐️⭐️ | Politics & Law |
読書メモ
ニクソン・キッシンジャー外交について語った書。1960年代後半~1970年代初頭のアメリカは、冷戦構造とベトナム戦争の中、複雑な外交が求められた。そうした中で、米中国交正常化、ベトナム戦争終結、米ソ兵器削減交渉(SALT)を実現させた経緯を読み解く。結果として成し遂げたことは極めて”ハト派”的だったが、決して彼らの外交姿勢はリベラルではない。むしろ、戦略的に”タカ派”の手法を用い(名誉ある撤退を実現するための北爆など)、相手を交渉のテーブルに引き出した。ニクソンもキッシンジャーも、当時の主要プレイヤーの思惑を全てわかっていたわけではなかった。ベトナムは中国、ソ連の言いなりではなかったし、中国はアメリカ以上にソ連と日本の再軍備化を恐れていた。ある意味で無知だったが、明確なリアリズムに沿った外交を展開したことで、結果として平和が実現できたのかもしれない。
一言コメント
高校時代に読んでいた本の再読。ニクソンもキッシンジャーも歴史上の人物としてしか知らない世代ですが、功罪あったであろう彼らの外交からは今も学ぶことがあるのだろうと思います。タカ派的な外交が逆説的に平和を呼ぶことがあるということは、国際外交のリアルを表しているかもしれません。
2022/3/5