基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
文明が衰亡するとき | 高坂 正堯 | January 20, 2021 | ⭐️⭐️ | History |
読書メモ
衰亡論―国家がなぜ衰退するかを語った書。
ローマ帝国は、民族大移動が直接的な引き金となって滅びたが、その裏には共和制の崩壊と都市化、その必然的な帰結である市民文化の退廃があった。財政問題の悪化は、領土拡張主義の限界を示したもの。
ヴェネツィアは貿易によって繁栄を享受した。そのヴェネツィアも、トルコの台頭、造船業の衰退(イノベーションのジレンマ)、大西洋貿易への移行により衰退を余儀なくされた。そうは言っても、ヴェネツィアは厳しい環境の中豊かな文化を発展させ、権勢を維持した方だった。
最後の例はアメリカ。1981年に書かれただけあって、黄金時代1960年代への賞賛がベースにある。ベトナム戦争の傷跡の残る中、福祉国家の破綻、国際貿易でのプレゼンス低下、環境問題への懸念などが衰退要因として挙げられている。1980年代にアメリカは復活して、栄光の1990年代を過ごした。しかし、その裏で新自由主義の限界が露呈し、2020年に至る政治の分裂を招いている。
歴史から学べることは何だろう?日本はどう衰亡するべきだろうか?考えるべきことは多い。
一言コメント
高校卒業辺りで読んだ本の再読です。盛者必衰、その中から何を学ぶべきでしょうか。
2022/3/5