基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
よみたい万葉集 | まつしたゆうり, 松岡文, 森花絵 | 2021年4月18日 | ⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ
万葉集の珠玉の歌たちを分かりやすく解説した本。万葉集には恋の歌や季節や動物(特に鳥)の歌、挽歌など様々な歌が収録されており、どれも魅力的だ。一般的に言われている通り、万葉集は技巧的な歌が少なく、わずか31音しかないのに音を繰り返すこともある。その分素直な気持ちや想いが載せられていて、万葉集に惹かれる人の気持ちがよくわかる。気に入った歌は、沙弥満誓の「世の中を 何に譬えむ 朝開き 漕ぎ去にし船の 跡なきがごとし」。船が去って跡に何も残っていない情景は容易に想像できるが、それを世の中に譬えるところに”無常観”を感じる。鎌倉右大臣の「世の中は 常にもがもな 渚こぐ 海女の小舟の 綱手かなしも」の歌を何となく思い出した。こちらは何でもない渚の光景がずっと続いてほしいという無常な世の中への抵抗。これだけ豊かな文学的作品が残っていることは嬉しく感じる。1300年前の人の気持ちが、わずか31音を通じて伝わってくることの奇跡。
一言コメント
百人一首と比べると、万葉集は全くの無知ですが、万葉集にも魅力的な歌が多くあると分かりました。百人一首以外の歌はどうしても覚えられないのですが、覚えることはできなくても、折に触れてその魅力を味わえれば幸せですね。
2022/4/30