『予告された殺人の記録』

基本情報

書名著者読了日評価分野
予告された殺人の記録ガルシア・マルケス2021年3月6日⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️Literature

読書メモ ※ネタバレを含みます

サンティアゴ・ナサールが、アンヘラ・ビカリオの名誉を守るため、彼女の兄弟に殺されることは村人全員が知っていた。それなのに、その殺人は誰も止められなかった。いったいなぜなのか?―その理由がまるで現実の事件録のように淡々と語られる。
犯人も動機も被害者も何もかもが最初から明らかなのに、とにかく続きが気になってしまう。村人たちは、無関心から、加害者がそんなことをするはずがないという楽観から、豊かな外国人への潜在的な人種差別的感情から、その犯罪を知っていて止められなかった。その上に不幸な偶然が積み重なって、凄惨な殺人が起きたのだ。殺人を止められない周囲の空気はグロテスクで、暴力的でさえある。この短さで、淡々とした筆致で、”空気”の恐ろしさを描き切ってしまう筆者の天才性に衝撃を受けた。

一言コメント

村中の誰もが知っていたのにも関わらず、凄惨な殺人が起こってしまった。その過程を見事に書き上げた作品です。短い作品ですが、文学のすごさを感じさせられます。同じ作者の『百年の孤独』はとにかく長くて読みづらいので、まずはこちらを読むことをおススメします。
2022/4/30

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