『グレート・ギャッツビー』

基本情報

書名著者読了日評価分野
グレート・ギャッツビーフィッツジェラルド2021年3月5日⭐️⭐️⭐️⭐️Literature

読書メモ ※ネタバレを含みます

時は狂騒の1920年代、西部の田舎からNYに移り住んできた主人公は、謎に包まれた大富豪ギャッツビー氏と、様々な人々―ブキャナンとデイズィ夫妻、ゴルファーのジョーダン、冴えないマートル夫妻―に出会う。最初主人公は、毎日パーティばかり開いているギャッツビー氏のことを、狂騒に踊らされる浅薄な人間だと思うが、ギャッツビー氏はただ一つの目的のために行動していたのだ。それは、昔の恋人で、戦争中にトム・ブキャナンと結婚したデイズィを取り戻すこと。そんな不器用で真っ直ぐなギャッツビー氏に、主人公は次第に共感するようになる。ギャッツビー氏はデイズィの心を一時取り戻すが、物語はギャッツビー氏が、マートル氏に殺されるという悲劇をもって終了する。ギャッツビー氏の周りにいた人々は、デイズィでさえ去って行き、愛に生きた男の葬式には主人公とギャッツビー氏の父、もう一人の男しか参加しなかった。彼の野望は儚く消えたのだ。主人公はこんな浅薄なNYの狂騒に嫌気がさし、田舎に戻ることを決意する。ギャッツビー氏は、NYの浅薄さと対照的な生き方だった。なるほど、ギャッツビーは”グレート”である。読み切ってみるとその偉大さが心に残る、そんな作品だった。

一言コメント

アメリカ文学の傑作とされている作品。この物語は、ロストジェネレーションを生きた男の悲劇であると当時に、狂乱の1920年代において虚妄に塗れたアメリカンドリームを描き上げたものでもあります。当時の自分は「ギャッツビー氏の偉大さが心に残る」という感想を残していますが、今振り返ると、本当にそう思っていたかどうか。傑作と呼ばれた作品を理解できていると思いたくて感想を書いた部分は少なからずあったように思います。この作品の魅力を真の意味で堪能するには、アメリカの歴史に対する理解がどうしても足りていません。時代背景をほとんど知らない異国の21世紀人が、この”傑作”から何を感じ取れるのか。難しい問題です。
2022/4/30

『華氏451度』

基本情報

書名著者読了日評価分野
華氏451度レイ・ブラッドベリ2021年3月2日⭐️⭐️Literature

読書メモ ※ネタバレを含みます

”fireman”の意味が変わった世界、華氏451度で本が焼かれる世界が描かれる。主人公は本を焼く側の人間だったが、不思議な少女との出会いで本の価値に目覚める。主人公は政府から追われる運命になり、本を守る人々に救われながら逃亡を図っていく。都市が戦争で壊滅する中、本の記憶があればまたやり直せるという希望をもって物語は終わる。
物語の流れは雑にも感じるが、設定とタイトルが秀逸というほかない。テレビのような受動的な娯楽に囲まれ、人々は考える時間と意思を失い、自ら本を焼くことを選んだ―この設定は情報にあふれる現代においても決して他人ごとではないと感じさせられる。本が焼かれる世界にならないことを願う。

一言コメント

タイトルに惹かれて一気読み。”fireman”のダブルミーニングは見事ですが、物語としてはそこまで面白くなかったというのが正直な感想です。現代の本離れにも警鐘を鳴らすような内容ですが、この本自体も読まれなくなっていると考えると虚しさを感じてしまいます。
2022/4/30