基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
スペキュラティヴ・デザインの授業 | 長谷川愛 | 2021年6月6日 | ⭐️⭐️⭐️ | Art |
読書メモ
スペキュラティヴ・デザイン。それは、常識を疑い、作りたい未来の価値を形にすること。社会に対して課題を提起すること。本書ではアーティストの筆者がスペキュラティヴ・デザインについて解説する。
例えば、筆者は(不)可能な子どもという作品を世に出した。女性の同性カップルの顔の画像を用い、彼女たちの娘が存在する場合の家族写真を作成する。生物学的に彼女たちは子どもを作ることはできないし、現在同性カップルは養子を持つこともできない。それでも、”家族写真”からは、こんな世界もあり得ると感じさせられる。他にも、イルカと人間の子どもができたら―というアート作品もある。生殖は種に囚われる必要があるのか?ここでも既存の常識を超えていく。
こうした現代アートを通じ、アーティストは課題を提起し、目指すべき社会を考えるための議論を巻き起こすことができる。企業や国家、市民社会の数歩先を行く。よりよい社会を目指すためには、アートの力は大事なのかもしれない。
一言コメント
今まであまり触れてこなかった現代アート系の本です。もはや”美”術ではないかもしれませんが、既存の常識を疑い、社会に課題を問いかけるアートの力には惹かれます。
2022/5/1