『フラットランド』

基本情報

書名著者読了日評価分野
フラットランドエドウィン・アボット・アボット2021年9月19日⭐️⭐️⭐️Literature

読書メモ ※ネタバレを含みます

2次元の世界―フラットランドーに生きる主人公の物語。フラットランドでは全てが2次元なのだが、2次元に適合した社会が存在している。2次元では前から見ても全てが線に見えるので、周辺の暗さで相手の形を判断する。角が多いほど高貴な存在とされ、円が聖職者階級として崇められている。
そんなフラットランドの住人だが、ある時1次元のラインランドの世界に出会う。ラインランドでは全てが1次元だ。ラインランドの住人に世界は2次元であると伝えるが、全く理解してもらえない。その後、主人公は3次元スペースランドの住人「球」に邂逅する。最初「球」がどれだけ言葉で世界は3次元だと説明しても、主人公は全く理解できない。実際にスペースランドに連れられて初めて、主人公はスペースランドの存在を信じる。
そんな主人公は、世界はスペースランドだと同じフラットランドの人たちに説明するが、全く理解されず、狂った住人だと扱われる。まさにラインランドの住人が全くフラットランドの世界を理解できなかったように―。
私たちと全く異なるフラットランドの世界をゼロから構築したアボットは天才としか言いようがない。現代物理学では世界の次元が11次元と説明されることがあるが、実際にその次元の住人から見た私たちスペースランドの住人はどう見えるのだろうか。
次元の高い世界を全く理解できないラインランドやフラットランドの住人。将来人間が圧倒的な未知に出会ったとき、同じような反応を示すのだろうか。短く面白い物語でありながら、深い洞察が感じられる傑作。

一言コメント

2次元の世界を構築できる想像力に驚かされました。3次元の世界の住民が2次元の世界の住民に3次元の存在をどれだけ語っても理解されなかった、というのは示唆に富んでいるように思います。人類も未知に対してどう振る舞うかが問われています。
2022/5/4

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