基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
白い城 | オルハン・パムク | 2021年12月4日 | ⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ ※ネタバレを含みます
トルコのノーベル文学賞作家オルハン・パムクが描く歴史小説。主人公は17世紀ヴェネツィア人で、オスマン帝国に囚われイスタンブールで奴隷とされる。彼は自らに瓜二つなトルコ人学者に買い取られる。彼ら二人は相互に学び、尊敬・軽蔑と相容れない複雑な感情を相互に抱きながら関係を続けていく。やがて2人は「なぜ自分は自分なのか」という「西」の問いに行きつき、それぞれの自らの人生を紹介する。その後二人の間の自我の境目は奇妙にも溶けてなくなっていき、武器製造計画が失敗した後互いの人生を入れ替える。
「東」と「西」の価値観・人生の溶融というテーマは、トルコという文明の交叉路を舞台にしているからこそ書ける内容だ。自我の境目が溶けていく過程の描写は見事だった。
十分に本書を理解しきれてはいないかもしれないが、世界文学である理由はよく分かる。
一言コメント
ノーベル文学賞の代表作。トルコという東と西が交叉する舞台に惹かれます。魅力的な世界文学です。
2022/5/4