『ロウソクの科学』

基本情報

書名著者読了日評価分野
ロウソクの科学ファラデー2022年1月22日⭐️⭐️⭐️Science

読書メモ

『ロウソクの科学』、それは世界一有名な科学本と言っても過言ではないかもしれない。本書は電磁気学を中心に化学に対して膨大な貢献をしたファラデーによる一般向けの講演録である。
ロウソクは長年利用されている灯りだが、その燃焼においては様々な化学的な作用が関わっている。ロウが燃えて溶けても燃焼部分が倒れないのは、お椀型に固まったロウのおかげであるが、これはロウソクの燃焼で生じた上昇気流によって冷やされることで形成されている。このように、ロウソクの燃焼一つとっても見事な化学的作用が裏にあるが、ファラデーはそこから燃焼の仕組みや酸素、水素など各種気体の性質にまで話を広げていく。気体に関する議論は、今や学校の教科書に載っているような内容であるが、ファラデーが実験を交えて見せたことで、当時の観衆たちに大いに感動を生んだことは間違いないだろう。
本書は今となっては新たな科学的知見を与えてくれることはほとんどない。しかしながら、ロウソクの燃焼という身近な現象から始め、「目に見えない」気体の性質に迫っていく過程には、科学という魅力的なプロジェクトのエッセンスがまさに詰まっているようでとても心惹かれる。多くの科学者が本書を推薦している理由がよく分かった。
科学が嫌いになってしまった大人にこそ読んでほしい本かもしれない。

一言コメント

ノーベル賞に関連してメディアで紹介されたことで有名になった本です。そこに書かれている科学的発見はもちろん古いものなのですが、科学のプロセスの面白さは今も昔も変わりません。この本によって科学ファンが増えたら嬉しいですね。
2022/10/2

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