基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
個人的なことは社会的なこと | 貴戸理恵 | 2022年2月6日 | ⭐️⭐️⭐️ | Sociology |
読書メモ
筆者のメッセージはタイトルに全て詰まっている。個人的なことは社会的なことだ、とー。フェミニズムの標語だった「個人的なことは政治的なこと」を文字って作られたこの言葉には深い意味がこめられている。本書は東京新聞コラムニストだった筆者が連載していたコラムをまとめたもの。夫婦別姓、待機児童問題、就職難などその時々の社会問題を扱っているが、一貫しているのは、「誰かの生きづらさ」に向き合い、それは社会の問題だと厳しく批判する姿勢である。例えば、過労死事件についてのコラムでは、「働く人の「生」を豊かにする職場を。そんな当然な願いを「甘え」「ぜいたく」と退ける社会に、明るい展望は描けない。」と述べる。このコラムでは、一つの過労死事件を決してそれだけで終わらせず、職場で生きづらさを感じている全ての人に寄り添い、社会問題として取り組むべきだと訴えている。自己責任論に毒されてしまった現代だからこそ、誰かの生きづらさはイコール社会問題だという姿勢は重要であるに違いない。誰もが生きやすい社会というと、安っぽい理想論と片付けられがちであるが、きっと理想を追うことをやめてはいけないのではないか。そう感じさせられる。
一言コメント
タイトルに惹かれて買ってしまいました。コラム集なので、当時こんなニュースがあったなあと懐かしく振り返りつつ読むことができます。誰もが生きやすい社会を願う気持ちは今も変わらず、です。
2022/10/2