基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
楽園のカンヴァス | 原田マハ | 2022年4月10日 | ⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ ※ネタバレを含みます
ルソーの「夢」にそっくりな「夢を見た」という一つの絵。この作品を巡り、大コレクターであるバイラ―氏の邸宅で、若き天才研究者・早川織絵とMoMAのキュレーター・ティム・ブラウンが真贋判定の戦いを繰り広げる。ピカソの名作が下に書かれている可能性があることから、作品から得られる利益を求めてオークション企業や名門美術館のトップキュレーターの思惑が絡み、美術界を変える重要な戦いになっていく。そんな中、二人は1日1章ずつ、ある古書を読まされる。それはルソーと「夢」のモデルとなった女性ラドヴィガ、その夫、そしてピカソや当時の若手芸術家を巡る物語だ。1週間という短い期間、ルソー作品とその作品に関わる物語に深く触れた二人は、それぞれの後ろにいる巨大な組織の思惑を無視して、ルソー作品への愛を貫いた。
そして20年近い時は流れた。早川織絵は未婚の母になって地元に戻り、研究の道からは去って美術館の監視員になっていた。そこに、MoMAのキュレーターとなったティムからルソー作品の貸与交渉の依頼が届く。約20年ぶりに再会した二人だが、一時ルソー作品を巡って確かに心を通わせた記憶は、一瞬で時間を巻き戻した。
実在するルソー作品を巡るミステリーで、どこまでが史実なのか、と思わず調べたくなる。ルソー作品を愛する二人が、その想いを貫いていく姿は美しい。
一言コメント
美術にも興味があるので、美術×文学をテーマにした原田マハさんの作品には心惹かれます。
2022/10/2