基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
車輪の下 | ヘルマン・ヘッセ | 2022年7月10日 | ⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ ※ネタバレを含みます
自然を愛する純粋な少年ハンス。彼は幼い時分よりその才覚を認められ、周囲の期待に応えるべく必死に勉強に打ち込み、2位という優秀な成績で神学校に合格する。一見すると順調で模範的な進路だが、規則に縛られ、数多くの勉強を強いられる神学校の生活は息苦しいもので、少しずつハンスは心身のバランスを崩していく。そんな中、詩を愛する唯一の友人ハイルナーが脱走騒ぎを起こして去っていき、ハンスも学校を去って地元に戻ることになる。
地元に戻ったハンスは見習工として改めて人生を送ろうとするが、俗世間的な生活にもまた順応することができない。最後には彼は誤って川に落ち、短い生涯の幕を閉じる。
この物語にはヘルマン・ヘッセ自身の人生が投影されている。ヘッセもまた神学校を去り、自殺さえも考えるようになったが、見習工として立ち直り、詩への情熱から小説家としての成功を手にした。ハンスは存在しえた彼の分身とも言えるかもしれない。
純粋な心を持った少年が周囲の大人たちの勝手な期待や規則によって押しつぶされていくのはきっと現代でも起こっているだろうし、それゆえにハンスの悲しい最期は今でも我々の心を打つのだろう。
一言コメント
純粋な少年が周囲の大人の勝手な期待によって潰されていく切ない物語です。個人的にはそんなに好きな作品ではないのですが、多くの人に支持されている何かがきっとあるのでしょう。
2022/10/2