基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
格差は心を壊す 比較という呪縛 | ケイト ピケット, リチャード ウィルキンソン | January 16, 2021 | ⭐️⭐️⭐️⭐️ | Philosophy |
読書メモ
格差は悪だということを明確なエビデンスをもって語った書。不平等だとメンタルヘルス・健康が悪化し、コミュニティが崩壊する。不平等は防衛的な自尊心(自己過信)を強化し、他人への共感心を失わしめる。中毒が増え、顕示的な消費が増える。他人と比べて劣っていると思うと、自己効力感が低下する(貧困と恥は不可分だという主張はアマルティア・センの考え方に合致する。)
不平等を正当化する根拠として遺伝子が持ち出されることがあるが、能力は社会環境の影響を大きく受ける。筆者は、不平等を個人の責任に帰すのは「根本的な帰属の誤り」を犯しているのではないか、と主張する。経済を民主化し、社会を平等に、それにより幸福が実現するのだと。『自己責任はない、悪いのは構造だ』と感じさせられる。
一言コメント
読書録1冊目だけあって、メモは短めでした。格差によって生じる病理を様々な実証研究で明らかにした本書の内容は今も記憶に残っています。考え方も今も変わっていません。
2022/3/5