基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
トランスヒューマニズム: 人間強化の欲望から不死の夢まで | Mark O’Connell | January 22, 2021 | ⭐️⭐️⭐️ | Philosophy |
読書メモ
人類は技術的シンギュラリティを迎え、やがて不死になる―トランスヒューマニズム(超人間主義)はそんな理想を高らかに掲げる。本書はライターの著者がトランスヒューマニズムに関わる人間たちの実像を鮮やかに書き上げたもの。
アルコー生命延長財団では、既に人の頭が冷凍保存されている。自らの体をサイボーグ化する者や、全脳エミュレーションを本気で研究している者もいる。若き天才起業家(デミング)や不死を唱える大統領候補者(イシュトヴァン)の物語も語られる。
こうしたトランスヒューマニズムは、誰もが持つ死への恐れに立脚し、ある意味で宗教的である―が、決しておとぎ話の中の話ではないことは、イーロン・マスクやビル・ゲイツ、ホーキングが超人工知能に対して警鐘を鳴らしていることからも明らかである。自分たちの世代は、少なくとも自然な寿命で2070年くらいまでは生きるだろう。後50年、今の人工知能の発展と、生命延長技術の進化を見ると、”老化は病気”になる未来が来てもおかしくはないのではないか。そんな現実的な恐怖を感じさせられた書。
一言コメント
不死を本気で目指している人たちの物語を見ると、トランスヒューマニズムは決してSFの世界の出来事ではないと感じられます。我々世代が必ず直面せざるを得ない”リアル”がそこにあります。
2022/3/5