基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
「役に立たない」科学が役に立つ | エイブラハム・フレクスナー, ロベルト・ダイクラーフ | 2021年2月7日 | ⭐️⭐️ | Science |
読書メモ
1930年に設立されたプリンストン高等研究所の初代所長フレクスナーが基礎科学の有益性について語った論考を再録し、考察を加えた本。筆者のメッセージは、フレクスナーの論考の価値は今なお衰えず、科学者の純粋な好奇心に基づく基礎研究が社会を前進させているのだ、ということ。無線機を発明したマルコーニを称揚するのではなく、その裏にある電気の原理を純粋なる科学的関心から解き明かしたファラデー、マクスウェルを称揚するべきだ、と。電気以外にも、基礎研究が後に応用された例は、量子力学や相対論など多々存在する。何かというと科学が”役立つか”という視点で判断される今、基礎研究の重要性を説いた論考を再び読むことには価値があると感じる。
一言コメント
どうしても政治は科学を役に立つかの観点で評価しようとします。基礎科学の重要性は本書に登場するフレクスナーだけではなく、あらゆる科学者が繰り返し述べていますが、これからも主張し続けなければならないことなのだと思います。
2022/3/6