基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
ジェンダーで学ぶ社会学 | 伊藤公雄, 牟田和恵 | 2021年2月7日 | ⭐️⭐️ | Sociology |
読書メモ
ジェンダーの観点から社会学を読み解く。本書は、育つ、遊ぶ、就活するなど様々な観点からジェンダーを捉える。教育においては、見た目上ジェンダー平等が達成されていても、「かくれたカリキュラム」が存在する。男子を先に配置する出席簿や、男子の方を目にかける教師の無意識のバイアスなど。こうした刷り込みは内製化されているので、その存在を認識し社会の認識を変えることは困難だが、無視できないものだ。雇用においては、エッセンシャル・ワークの脱ジェンダー化、女性に不利な日本型雇用慣行の廃止が必要だ。男性もまた、ジェンダー意識によって抑圧されている。男性が経済力を持つことが当たり前の社会では、男性もまた自由な生き方を追求できない。ケア労働については、その多くが女性によって担われ、その価値が適正に評価されていないのが大きな問題となっている。
この本では、表面的な差別だけではなく、社会構造に内製化されている抑圧や男性の視点含めて様々な観点からジェンダーについて学ぶことができる。2021年、東京オリンピック会長の性差別的な言葉が世間を騒がせる中、「すべての人が自分らしく生きられる社会」を実現するため、裏にある構造や無意識の抑圧にも向き合う必要があるのではないか、と感じさせられる。
一言コメント
自身は差別などしていないと思い込んでいても、間違いなく無意識の差別はしているし、社会構造に内製化されている抑圧に加担してもいるのだろうと思います。そこから逃れるためには、まず「知ること」が一番必要なのではないでしょうか。
2022/3/6