基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
超約 ヨーロッパの歴史 | John Hirst | 2021年2月10日 | ⭐️⭐️⭐️ | History |
読書メモ
ヨーロッパの歴史を大きな構造からとらえなおした本。中世ヨーロッパ文明は3つの大きな要素の不思議な混合物である。①古代ギリシア・ローマの文化②キリスト教③ゲルマン戦士の文化、だ。近代はこの混合物が崩壊する過程だった。科学革命により、ギリシア人は誤っていることが分かり、進歩や合理主義の概念が支配的になる。宗教はその重要性を失っていく。ロマン主義は個人の感情や文化を重視し、近代において支配的概念になるナショナリズムを形成する。ナショナリズムや進歩の先に、ヨーロッパ人は二度の大きな戦争を経験する。宗教は科学より下位に置かれがちな一方で、ヨーロッパ人は”伝統的社会”、”未開”に憧れ続けている。
ヨーロッパ文明はそれぞれに矛盾を抱える混合物であり、それを超克できるのか。ヨーロッパの歴史やヨーロッパ文明を理解する上で必要な本。
一言コメント
ヨーロッパ文明を大きな異なる3要素からなる混合物と捉え、その矛盾や対立から歴史を描き上げたのは見事と言う他ないと思いました。日本も間違いなくヨーロッパ文明の影響を強く受けており、ヨーロッパを知ることには大きな意義があると思われます。
2022/3/6