基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
サイエンス・ライターが古文のプロに聞く こんなに深い日本の古典 | 竹内薫, 黒澤弘光 | 2021年2月14日 | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ
古文の面白さを語りつくした本。
伊勢物語の梓弓の物語は、ごくごく短い文章だが、何気なく進んだ”時間”に意味がある。3年の時を経て、いよいよ「今宵逢はんとす」時に、元の夫が戻ってくる―昔の人にとってその3年にどれだけの意味があるか?その間どれだけの葛藤があっただろうか?と筆者は問いかける。
平家物語の忠度都落の物語では、忠度が、平家が滅び自らも死ぬ運命にあることを悟りつつ、ただ和歌を後世に残したいという純粋な想いを叶えるため、藤原俊成の下を訪れる。朝敵となった以上、和歌が勅撰集に入れられることはあり得ない。それでも無理なお願いをしに来た。そして俊成がその思いに感銘を受け、その想いに応えた―その物語に人々は感動したのだ。
解説なしに古文を読んでも、面白みに欠ける物語で終わってしまうが、当時の状況や文脈を理解た上で読むと、これほどに古文は面白い。今に通じる人間の深い感傷がそこにはある。古文を”学ぶ”ことはもうないだろうが、人生を豊かにしてくれる存在として、これからも興味を持っていきたいと感じた。
一言コメント
受験勉強の対象としてではなく、人生を豊かにしてくれる教養として、古文は素晴らしいものだと実感しました。受験以来古文に全く触れていない人こそ、是非改めて古文を読んでみてほしいなと思います。きっと新しい発見があります。
2022/3/6