基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
動物農場 | ジョージ・オーウェル | 2021年2月28日 | ⭐️⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ ※ネタバレを含みます
名前のある動物が沢山出てくるこの物語はコミカルだ―が、圧倒的にリアルである。横暴な人間に対して反旗を翻した動物たち。賢い豚の下に”動物は皆平等だ”という理想を掲げ、動物農場を建国した。しかし、そんな理想郷は長く続かなかった。二頭の豚、ナポレオンとスノーボールの内部抗争、その後ナポレオンによる独裁が始まる。ナポレオンの独裁の描写は恐ろしい。歴史が次々改竄され、個人崇拝に変わっていく。粛清が横行し、ナポレオンは周囲を番犬に囲まれて豪奢な生活に浸る。最後には、豚たちが人間と見分けがつかない姿になり、理想は完全に崩壊する。働き者のボクサーが働けなくなった途端売られていったのには悲哀が漂う。愚かで同じ言葉を繰り返す羊―考えずに権力に追従する愚かな大衆―の罪は深い。
動物農場という物語の形をとり、当時の知識人の憧れだったソビエト連邦の欺瞞を、これでもかという程見事に描き出した作品。ここに描かれている独裁への道は、現代でも全く他人ごとではない。
一言コメント
読みやすい小説ですが、痛烈に独裁を批判しており、さすがオーウェルといったところです。残念ながら、未だにこの物語をただのおとぎ話として片づけられない現実があります。
2022/3/6