基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
時計じかけのオレンジ | アントニー・バージェス | 2021年3月6日 | ⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ ※ネタバレを含みます
時計じかけのオレンジ、この作品ほどグロテスクな暴力描写を見たことがない。主人公のアレックスはわずか15歳でありながら、あらゆる暴力を経験し、ついには女性を殺害した罪で収監される。彼は新しい更生法を実施され、暴力を見ると吐き気を催すようになり、自由意志が完全に奪われる。これではまるで”時計じかけのオレンジ”ではないか―。アレックスを時計じかけに変えた政府の抑圧は恐ろしいが、彼の自由意志、オレンジも本当に恐ろしい。最後にアレックスは自由意志を取り戻し、加筆された章では暴力への意思をなくしてハッピーエンドで終わる。人の本性がグロテスクなほどの暴力衝動にあるのならば、彼はオレンジを取り戻すべきだったのか?その答えの出ない問いが心に残る。今よりはるかに暴力の多い1960年代に発表された本書に描かれている暴力性は、現代には全く当てはまらないように思えるが、それは時代次第でどう変わるかは分からない。物語として面白いかは何とも言えないが、少なくとも心に残る作品だった。
一言コメント
若者の暴力描写の凄まじさが印象に残る作品です。これほどまでの暴力性は1960年代という時代を感じさせますが、人間のどこかにはこうした衝動があると考えると空恐ろしくなります。これからも賛否両論ありつつも読み継がれていく作品でしょう。
2022/4/30