『変身』

基本情報

書名著者読了日評価分野
変身カフカ2021年3月13日⭐️Literature

読書メモ ※ネタバレを含みます

「ある朝、目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変っているのを発見した」、そんな衝撃的な文章から始まる物語は一貫して意味不明である。虫に変ってしまった理由は全く語られない。主人公はなぜか虫になってなお冷静に思考している。家族はザムザを恐れつつも、虫になったことは自然と受け容れている。この作品はとにかくグロテスクで不条理でもある。虫の描写はリアルであり、不快感すら感じる程だ。結末には全く救いがなく、父の投げたリンゴによる傷がもとになってザムザは死亡し、家族はまた別の場所で新しい生活を始める。カフカはこの小説を通して何が言いたかったのだろう?「父と子の対立が書かれている」など、様々な解釈が存在しているが、ピンとくるものはない。無理にカフカの考えを読み取ろうとしても、得るものはないのかもしれない。少なくとも面白い作品ではないし、深い意味が分かったわけでもない。ただ謎と不快感だけが残った。が、恐らくその感情は忘れられないだろう。それがカフカの意図であったとするならば、全く見事に嵌められたというしかない。

一言コメント

とにかく意味が分からない作品で、もう一度読み直したいとは全く思えませんが、確かにその内容は今も心に残っています。不条理文学の極致という気がします。
2022/4/30

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