『これで古典がよくわかる』

基本情報

書名著者読了日評価分野
これで古典がよくわかる橋本治2021年3月21日⭐️⭐️Literature

読書メモ

どうすれば古典が”分かる”のか、それを語りつくした本。一番元をたどると、日本語が”漢字”という外国語と”かな”という自国語が混ざり合ってできているということに、古典の難しさがある。万葉集は外国語である漢字で書かれ、源氏物語はひらがなばかりで書かれた。この裏には漢字は男のもの、ひらがなは女のものという認識があった。現代人は和漢混交文をあまりにも当たり前だと思っているから、漢字だけ、ひらがなだけで書かれた文章を読むことができないのだ。平安時代以降”普通の日本語”がようやく誕生する。古文は平安時代至上主義的な傾向があるが、敢えて読みづらい日本語を読ませることに何の意味があるのか。筆者はそう疑問を投げかけているように思える。一冊の中で古文について様々な観点から語っているが、結局古文が難しいことには変わりはない。一つ筆者が言いたいことがあるとすれば、もちろん背景への基礎知識がないと古文は分からないが、古文は過去の”現代人”が書いたものに過ぎず、過度に恐れることも、過度に神聖視することもするべきではない―ということなのではないか。

一言コメント

日本語の変遷から語る古文論です。この本を読んでも、中々「古文が分かった」とはなりませんでした。やはり古文は難しく、専門家でも何でもない身で、「自分だけの力で理解する」ことは諦めていますが、それでも専門家によって書かれた古文の解説書を読んで古文を堪能することは可能だと思うのです。今後も古文に対してはそうした関わり方をしていきたいと感じます。
2022/4/30

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