基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
眠れないほどおもしろい百人一首 | 板野博行 | 2021年3月27日 | ⭐️⭐️⭐️ | Literature |
読書メモ
百人一首に収録された100首の歌について、魅力的なエピソードを紹介した本。膨大な数の歌がある中、少なくとも確かに名歌だと言える歌が100首目の前にある。そのことの素晴らしさを感じる。百人一首の恋愛や季節の移り変わりを歌った歌は現代人にとっても共感できるところが多くあり、それ自体魅力的である。最も印象に残ったのは、百人一首の終わり方。源実朝の”世の中は~”の歌、後鳥羽院の”人もをし~”の歌、順徳院の”ももしきや~”の歌は、どれも最後の方に配置されているが、世の中の無常さと、政治的に敗北した人々の切ない運命を感じさせられる。百人一首が編纂された頃には、公家が権力を握り和歌が絶対だった時代は終わりつつあった。そんな時代の流れを”無常観”に重ね合わせ、100首の名歌を収めた歌集を終わらせたことから、定家の想いが伝わってくるように思える。和歌の世は終わったが、定家の残したこの歌集はきっと後世まで残るし、そうであってほしいと思う。
一言コメント
百人一首ファンとして百人一首絡みの本はたくさん読んでいますが、その中の1冊です。昔は前半の有名な歌人の歌を愛唱していましたが、今になると後半の哀愁漂う歌に惹かれます。何度でも味わいたい珠玉の100首です。
2022/4/30