基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ | ウィリアム・マッカスキル | 2021年6月19日 | ⭐️⭐️⭐️ | Philosophy |
読書メモ
この世界のために何かいいことをしたい―多くの人が持っている思いだ。しかし、社会貢献活動は時として全く意味がないばかりか、害をもたらすことがある。プレイポンプのモデルは本当に素晴らしく聞こえる。「子どもたちの遊びの力を水汲みに生かし、女性を水汲みの負担から解放しよう―」と。その美しいモデルの効果は正しく測定されないまま普及が先行した。実際にはかえって女性の負担が増してしまっていたのだ。
筆者はこうした状況を憂い、こう主張する。「利他的な活動をしよう、ただし、有効に」と。本書は、有効に利他的な活動をするうえで考えるべきことを提示する。具体的には、
①何人がどれくらいの利益を得るか?
②あなたにできるもっとも有効な活動か?
③この分野は見過ごされているか?
④この行動をとらなければどうなるか?
⑤成功の確率は?
こうした疑問はどれも大切で、自分の時間とお金を使って利他的な活動をしたいのであれば、確実に向き合わなければならないことだ。
有効に利他的な活動を行うという本書の主張には共感する。一方、寄付先の選定に個人的な要因(心理的な近接性など)が入ることは仕方がないし、社会的な活動が純粋に目に見える結果のためだけになされるべきではないとも思う。そうした違和感はありながらも、せっかく社会を大きく変えられる力を持ったのだから(先進国の人間は皆その力を持っている)、本書の考え方を指針として、社会をよくするために何をするべきか考えたいと感じる。
一言コメント
世界には大きな格差があるということは、今我々先進国人が稼いでいるお金でかなり多くの人を救えるということでもあります。筆者の言う通り、効果的に利他的でありたいですね。
2022/5/1