基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
条件なき平等 | レジャーヌ・セナック | 2021年8月17日 | ⭐️⭐️ | Sociology |
読書メモ
筆者はフランス社会において、条件付きの平等(社会的・経済的メリットがあることを前提とした平等)を拒絶し、無条件の平等を主張する。
フランス社会の基本的な価値は、「自由、平等、友愛(フラテルニテ)」にあるが、フラテルニテは全ての人を包含していたわけではなかった。それはフランス白人男性たちの連帯で、人種的マイノリティや女性たちは排除されていたのだ。その意識は、ジェンダー平等が非常に重要な政策課題と考えられている現代フランスにおいても未だに残っている。それゆえ、フェミニズム運動に対し、見下し、否定するような言説が時に展開されるのである。
現代のジェンダー平等に向けた動きも、男性だけで構成されるフラテルニテの集団が、女性に社会的・経済的価値があるゆえに、一定の権利を認めるといった構図をとることが多かった。筆者はそうではなく、実際的な価値とは無関係、無条件な平等を実現せよ、と説く。
フランスでいうフラテルニテのように、一種のホモソ―シャル的な価値観は日本でも強く残る。真の平等を実現するためには何をすればよいか考えさせられる。
一言コメント
フランスにおけるフェミニズム運動の本です。「友愛」というと聞こえがいいですが、その裏には排除されている人がいる、と筆者は主張します。残念ながら、ホモ・ソーシャルな価値観は日本で色濃く残っています。条件なき平等を実現するのは、まだまだ容易ではなさそうです。
2022/5/1