基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
探究する精神 | 大栗博司 | 2021年9月18日 | ⭐️⭐️⭐️ | Science |
読書メモ
理論物理学者の筆者が、自らの半生を振り返った本。
多くの本を紹介しながら人生を振り返るが、広く学び、探究心を持ち続けたことが、今の成功に至るまでの道を支えたということがよく分かる。
最後の章では、基礎科学の意義を説く。基礎科学は短期的な効果を求める目的合理的な行為ではなく、それ自体に価値がある価値合理的な行為である。それゆえ、純粋な探究心がそれを推進させるモチベーションになっている。基礎科学は確かに短期的には役立たたないが、長期的には大きな価値を持つ可能性があり、それゆえ無視できないものである。
基礎科学者は、自らの探究心・好奇心を満たすために「役に立たない」科学に多くの時間とお金を投じている。筆者は、その責任を自覚しながら、今後も基礎科学発展のために尽力する覚悟を語って本書を終える。
多くの基礎科学者が同じような想いを持ち、社会全体でそれを支えていく、そんな社会になってほしい。
一言コメント
卓越した理論物理学者が自身の半生と学問への想いを語ります。内容は理解できないなりにも、せめて社会で基礎科学を支えるような気持ちを持っていたいですね。
2022/5/4