基本情報
書名 | 著者 | 読了日 | 評価 | 分野 |
オスマン帝国 | 小笠原弘幸 | 2022年1月22日 | ⭐️⭐️⭐️⭐️ | History |
読書メモ
3大陸をまたにかけ、600年にもわたって存続した世界史上でも稀な大帝国、オスマン帝国。その600年の歴史を語る。オスマン帝国は一般に4つの時代区分に分けられる。まずは封建的侯国の時代で、この時代は封建諸侯たちに支えられる形で国家が存在した。その後に来るのが集権的帝国の時代。この時代は、コンスタンティノポリス制服を境としてスルタン中心の中央集権化が進んだ時代である。16世紀後半以降が分権的帝国の時代である。スルタンが握っていた権力が分権化し、その中で社会的混乱や領土縮小を招いたが、18世紀には国に安定と繁栄をもたらした。最後が近代帝国の時代である。近代化改革を成し遂げ、欧米列強と争った。そして、第一次大戦の敗戦とトルコ革命によってオスマン帝国は滅亡し、現代のトルコが成立したのである。オスマン帝国は世界史上稀に見る帝国でありながら、西洋中心主義的な歴史観の中で十分な注目を浴びていなかった。継承国家トルコにおいても、世俗性が強調され、オスマン帝国は十分に顧みられてこなかった。しかし現在トルコで宗教色が強まる中で、オスマン帝国は俄かに復権しつつある。世俗と宗教が複雑に混じり合う中、オスマン帝国は3大陸の多民族をなぜ長期にわたって支配し続けることができたのかー。これからオスマン帝国研究は一層の盛り上がりを見せるに違いない。
一言コメント
オスマン帝国は世界史の授業で習いますが、その細かい歴史は出てこないのが一般的です。ただ、オスマン帝国が600年という長い期間、3大陸にまたがって存在した世界史上稀にみる大国家であったことは間違いありません。日本でもローマ帝国と同じくらいに注目されてもいいだけの魅力がある帝国だとは思うのですが。。。
2022/10/2